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自治体の皆さまへ

都市(まち)をデザインする(2)

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山形県 山形市

▼民間活力の活用
▽やまがたクリエイティブシティセンターQ1
やまがたクリエイティブシティセンターQ1は、文化創造都市の活動拠点として、山形市立第一小学校旧校舎をリノベーションし生まれました。ユネスコ創造都市ネットワークに加盟している山形市を象徴し、文化創造都市のビジョンを体現している施設です。
Q1では、ビジョンを具現化するために、課題を対話によって導き、試行錯誤を繰り返しながら完成形に近づけるという、行政としては珍しい手法を採用しました。山形市立第一小学校の旧校舎は、以前は山形まなび館として1階と地下だけ使用していましたが、観光や市民活動などさまざまな側面があるために、施設の位置付けが曖昧で、2、3階の利活用も課題となっていました。そこで、ユネスコ創造都市ネットワークの映画分野に加盟したことを機に、文化創造都市の拠点施設というコンセプトを明確に定めました。
コンセプトを決めた後は、行政だけではなく多くの皆さんからご意見を伺うべきと考え、構想を検討する段階から文化創造都市の拠点施設にはどんな機能が必要かなどを文化団体や東北芸術工科大学の方とゼロから議論しました。ある程度の構想が決まった後も、2年間は実験的に活用する期間を設け、徐々に文化創造都市の拠点施設のイメージを具体化していきました。Q1がオープンしたときも、テナントが全部埋まった状態ではなく、運営しながら中身を充実させていくという考え方を取っています。
こうしたやり方は、行政としては非常に新しい手法ですが、ビジョンやコンセプトを具現化していくという意味においては、デザインの手法を効果的に取り入れた一つの好事例として挙げられると思います。結果的に、Q1の場合も当初想定していなかったような良いテナントが入居するなど、思いがけない効果がありました。
Q1が柔軟に対応し、進化していく運営を行った結果、始めは若い方の来館が多かったですが、今は幅広い世代の方に来ていただき、県外から訪れてくれる方も多く見掛けるようになりました。
また、いろんな企業が製品発表会等でQ1のイベントスペースを活用したり、クリエーターと企業が一緒に商品やサービスを開発したり、Q1は文化創造都市の拠点施設として意図した結果が出ていると感じていますが、これこそ施設のコンセプトを具現化するデザインが見事に奏功した結果だと考えています。
Q1はこれからもまだまだ進化していきます。

▽シェルターインクルーシブプレイス コパル
屋内型の児童遊戯施設としては、市内北部のべにっこひろばに多くの利用者が訪れていましたが、市内全域における子育て支援機能をさらに充実させる上では、南部への新たな設置が望まれていました。
一方、県内各地に屋内型の児童遊戯施設が整備されている中、特徴のある施設にする必要があるとも考えていました。多くの人が集まるまちにするためには、多様性が非常に大事になってくると考えていたことから新しい施設のコンセプトを「インクルーシブ(1)」と定めました。
インクルーシブをコンセプトにした施設は全国にもあまり例がなかったため、民間事業者から幅広くアイデアを募集し、今のコパルの考え方や建物のプランが選ばれました。
公共施設を整備する際は、設計・建設・運営をそれぞれ別に発注することが多いですが、コパルの場合はビジョンやコンセプトを実現するために、戦略的にPFIという手法を用いました。設計・建設・運営を一括して発注することで、「インクルーシブ」という考え方を建物と運営とが一貫してまるごと体現する施設が生まれました。
コパルは、令和4年4月にオープンして以来、すでに約26万人にご利用いただき、お子さんや親御さんに大変喜ばれています。
また、インクルーシブという考え方を体現した施設として高く評価されており、グッドデザイン賞など数々の賞を受賞したほかに、約1300件を超える視察を受け入れるなど、全国的にも注目される施設となっています。
運営面でも、インクルーシブという考え方に沿った企画やイベントがすでにたくさん行われていますが、コパルは、まさにデザインの力でコンセプトの具現化を果たした施設と言えます。
今後もインクルーシブを体現し、体験していただける施設として運営していきたいと考えています。

(1)障がいの有無や性別、人種などの違いを認め合い、分け隔てがないこと。

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